面倒くさい

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面倒くさい

阿久津がこの前、お見合いしたらしいことは僕の耳にも入っていた。 あの珍しく酔っぱらって、ウチにやって来た本人から。 本人はそのつもりもなく、ただパーティーかなんかに出席しろと突如、入院が決まってしまった父親に言われたらしい。仕方なくパーティーに行ったら行ったで、いきなり個室に連れて行かれ、なんだかんだと女性とお茶することになったとか・・・・ まぁ、あいつの言うことを信じるなら、そうゆうことになる。 「どうせ私は真尋と違って、演技とか、そうゆう才能ないのはわかってるけど、今回はちゃんと・・・」 僕の前で、グダグダとどうでもいいことを呟く真衣は少し放置しておこう。 「まぁ、いつもなら、真衣の不器用なところも阿久津のツボに嵌るんだろうけど、今回はやり過ぎ。いくら本気じゃないって分かっていても、真衣から『別れたい』って言われたら、さすがに凹むよね。そりゃぁ、怖い顔もしたくなるだろうし」 「やり過ぎとか本気じゃないとかって・・・・演技じゃないし、ホントの気持ち伝えただけだし」 不貞腐れる真衣も可愛いけど、さすがに意地のはり過ぎはよくないよ。 というか、拗らせ過ぎでしょ? 「ちゃんと正式に断ったって、お見合いの話。本人はお見合いってことも知らされてなかったらしいし。まぁ、阿久津も父親が倒れたりで、いきなり跡継ぎ問題とかに巻き込まれて、周囲が勝手に阿久津の身辺固めに走っただけだとは思うけど。きっと親父さんも焦ってたんじゃない?自分がいなくなったら、どうなるのかって。いろいろ手を尽くす必要があるって思ったのかも。会社の後継者問題とかをさ・・・」 「だったら・・・そんな大変な状況なら、周りの人が勧める相手の方と結婚したほうが、阿久津家は安泰じゃない?阿久津君、長男なんでしょ?」 阿久津を支えてくれる、家格も合う人の方がいいんじゃないかって考えてしまう真衣の気持ちも分からないではないけど。ウチ、普通のサラリーマン家庭だしね。 しかし身を引くとか、いつの時代なのって言いたくもなる。 真衣はもっと堂々としていればいい、遠慮なんてしなくていいのに。 だって、真衣はこの池上真尋の双子の姉なのだからね。 まぁだからこそ、僕がいたから真衣は他人に遠慮しがちな性格になっちゃったのかな・・・ ねぇ、真衣は十分、他の女性と並んでも遜色ないどころか、キレイなんだから、もっと堂々としていていいんだよ。 こうゆうことは阿久津が言うべきなんだとは思うけど、アイツ、真衣の前だと、いつもの饒舌さはいつもどっかに行ってしまうらしいから。 どれだけ不器用?いつも尊大なくらい自信満々なくせに、真衣の前だとからっきしなんだから。
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