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一方的な真衣からの別れ話に納得のいかない阿久津はウチの両親の挨拶の前に、初めて僕に頭を下げてきたんだ。勿論、真衣との結婚の許可。さり気にプライド高いヤツなのに、真衣のことになると必死だよね。「真衣ちゃんのそばにいさせてほしい。真尋の次でもいいから」って。そこまで言われたら、阿久津を応援したくもなる。っていうか、三角春陽には渡したくない。
「今回のそもそもの原因は真尋だろう」
春陽はいつだって痛い所を突いてくる。事件の事後処理も、一番冷静に経過を見守って解決に導いたのは春陽なわけで・・・僕と阿久津は頭に血が昇ったまま、冷静な判断なんて後回しになっていたから全く使えなかった・・・らしい。
要は事件のストーリーをまとめて、こちらに有利に運ばせたのは春陽と事務所社長のタッグがあったからと聞いている。だから警察沙汰にもならなかったって・・・・そして誰よりも真衣自身のことを最優先に考えてくれたのも彼で、気を失った真衣をベッドに運んでいく役割まで奪われて。真衣が春陽と結婚でもしようものなら、絶対、僕から隔離するだろうって確信してしまった。
だから阿久津の提案にのった。
春陽と張るなら、僕は阿久津と組むしかない。そうすれば、さすがの真衣にだって勝ち目なんてあるはずないよね?
あの誘拐事件の時に真衣を思いっきり抱きしめ続けて、肋骨にヒビをいれさせた阿久津だよ。真衣に対する気持ちなら、僕にも負けないくらい強いはず。コイツが本気になったらヤバイことぐらい、真衣、いい加減理解して。阿久津から逃げ出すことなんか無理だし、真衣にゾッコンなんだからさ。
ここはもう潔く諦めよう。
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