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神代厚人 再び
真衣ちゃんから就職がきまったという報告をもらった。
俺は医学部だから、真衣ちゃんたちよりも卒業が1年遅くなる。
思い返せば、初めて、彼女と至近距離で会ったのは、あの夏祭りの日。
春陽が珍しく自分から好きになった女の子。
どんな子かと事前に学校で観察してみれば、見た目はモデル並みにスレンダーで背が高いのに、他の女子高生がするような化粧、というかナチュラルメークさえも施されることもなく女子力の低さがうかがわれる女子だった。化粧以前に色付きリップでさえもされてないらしいその素顔は、もろスッピン。多分パーツパーツはキレイだから、ちょっと手をかければ、絶対イイ感じなるのは分かったけど、いかんせん本人が自分の魅力の使い方を分かっていない子だなって思ってた。
千歳と違って、どちらかと言うと性格も男前な女子で、なんで春陽がこの子に惹かれるのか、正直よく分からなかった。だって、千歳の方がどう見ても可愛いだろう。
千歳はずっと春陽のことが好きだったと思う。
一方の春陽は千歳のことを手のかかる妹ぐらいにしか長いこと認識してなかったったんじゃないかな。それを知っていた千歳は春陽の真衣ちゃんへの気持ちを成就させることを優先した。
あの夏祭り、茶番に駆り出された俺。きちんと役割は果たしたはずなのに。
真衣ちゃんは結局、双子の弟 真尋の友達と付き合うことになったという。
その阿久津という名の彼は、いかにもインドアが似合いそうな可愛い顔をしたメガネ君だった。背は高かったけど。それが俺の第一印象。
俺が女なら、春陽を選ぶのにと思ったのは身内の贔屓目なのかもしれない。
まぁ、ホントの阿久津君はソフトな印象と真逆らしいことは、真衣ちゃん、もとい真尋君誘拐事件でイヤというほど知ることになったんだけど。
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