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真衣ちゃんとの別れ話になったとき、背景に家格が合わないだの、そうゆう話が出たことは承知している。
俺のお見合を誰よりも率先して決めようとしたのが孝志の父だったことを真尋が知ったのがクレームの発端。真尋は堂島 父の態度から真衣ちゃんがディスられてるようにとったようで、当時は相当お怒りだった。
堂島孝志は父の会社の秘書課を切り回す優秀な社員である前に、俺のことを何かと気にかけてくれた兄のような存在ではあった。昔から表情の読みにくい人ではあったけど、俺には優しかったと思う。口数は少なく、丁寧で。
真尋に親近感がわいたのは纏う空気が孝志と似ていたからかもしれない。
うん、真尋と孝志はシンクロすることが多い。考え方とか声や表情の作り方とか・・・
でも二人が何かのパーティーで一度遭遇したことがあった時は二人の間に親し気な空気が流れることは決してなかった。双方イヤな顔をしたことは記憶に新しい。完璧、同族嫌悪って感じだろう。
「真尋は出張だから、今回は邪魔されることもないと思います」
「だといいですね」
だから、その予言めいた言葉は吐かないで。心配になるじゃないか。杞憂だとは思ってるけど。杞憂であってほしいけど。
俺と真衣ちゃんがいい感じになると、なぜかどこからともなく真尋が現れるのは定番になってるからな。
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