阿久津君の残念な日~番外編~

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真衣ちゃんに迎えに行けないけど、旅館で合流しようと謝れば、「大きなお風呂楽しんでるね♥お仕事、頑張れ」なんてメールをもらって。 怒ったりしないかと心配したけど、ホント真衣ちゃんっていい子だよなぁって思う。 否定的な言葉はあまり言わない。 どっちかというと、真尋がそばにいる時は頑張ったり、構えたりすることが多かったような気がしてた。お姉ちゃんなんだから、真尋を守らなきゃみたいな感じだったのかもしれない。俺と一緒にいるときは、そうゆう必要がないからか、最近のほほんとしていることが多いような気がする。元来、天真爛漫らしく、気持ちが表情にストレートに駄々洩れのことも多い。それでいて包容力も感じることもあったり、二人のときは、最近ではちょっと甘えてきたりで、もうこっちがメロメロなんだよね。ホント可愛くてさぁ。 一緒に暮らしたいんだけど、マジで。それなのに・・・・ 「もう少し仕事を頑張りたいから」 まぁ、今は忙しすぎて俺もそんな感じではあるけど。大学を卒業して1年たった今現在、お互い忙しくて週末土日のどっちか会うのがギリギリだったりしながらも、どうにか付き合いは深くなってはいるけれど。 春陽と千歳ちゃんが来年には結婚式を挙げると言われれば、焦る気持ちもあるわけで・・・・ 「この前、会社の飲み会の後、知らないヤツが真衣を家まで送ってきたぞ」 真尋はたまにいらない情報ばかりを俺に教えてくる。 この前、会社帰りに会ったスーツ姿の真衣ちゃんはいつもと違って、大人っぽい女性で、そんな彼女を俺の知らない奴らに見られているかと思うとぞっとした。 忙しすぎて、どうしても真衣ちゃんとちゃんと時間がとれなかった時期には真尋から心配になるようなことを言われたこともあった。 「最近、真衣のスマホに連絡が頻繁にきてるみたいけど、あれって阿久津からじゃないの?」 そんなことまで言われれば、不安にもなる。 真衣ちゃん本人を前にすると、なかなか聞きにくくて。 物分かりのいい、包容力のある男でいたいから。 24時間、真衣ちゃんの行動を把握していたいと言ったら完璧、引かれるだろうし。 でも気になるものは気になる。誰からの連絡? あんまり細かく聞くと、重すぎるヤツと思われるよね? こんなに自分が独占欲が強いんだって初めて知った。 真衣ちゃんをどうにか囲い込もうとしている自分に驚く。 これじゃ、真尋のことをとやかく言えない。 春陽に「真尋も阿久津も、真衣のことになると見境ないゲスな男になり下がる」と言われたことを思い出す。 ほっておいてくれ。
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