気まぐれ雨降り

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気まぐれ雨降り

 夏の暑い時期、部活も終わって帰ろうと自転車に乗って学校を出た。  走り始めて数分、突然ぽつぽつと大粒の雨が降ってきた。この感じだと夕立だろう。  どこかで雨宿りをしてやり過ごせばいいのだろうけれども、あいにくそんな都合のいい場所はこのあたりには無い。  それならと、力強くペダルを踏み込む。このまま一気に家まで帰ろう。この雨の中を全力で駆け抜けるしかない。  濡れた制服が体にまとわりつく。少し動きづらいけれど、止まっていたら余計に濡れてしまう。だからとにかく走り続けた。  なんとか家まで帰り着き自転車を停める。すると、その途端に空が明るくなって雨が止んだ。  解せぬ。  そう思ったけど、雨と濡れた制服の匂いは夏らしかった。
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