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「よし。駆逐完了」 剣を高々とあげるとともに、俺は大あくびをした。 けど、炎のような細工が(つば)についたサーベルはいつ見ても美しく、元気になる。 「さて。報告に戻ろうか、マリリン」 「ちょっとバーベキューでもしてこうよ」 同行者の魔術師マリリンは、倒した下等魔物をさばこうとナイフを取り出している。 「いや。なるべく早いほうがいい」 ギルド本部から受けた指令をやりきるのに三日かかっている。任務完了がどれだけ早いかで報酬やランクが変わってくるのだ。優雅にバーベキューパーティーしている余裕はない。 「もう。アーサーはまじめなんだから。ちょっとは気楽にやったらどうなの」 本部につながる転送地点へと歩みだした俺のあとをマリリンはほほをふくらませてついてくる。 「それに、食料を町で買ったら高いんだからさ。節約したらどうなの」 見た目十七才、ピンクのツインテール娘にとやかく言われても、説得力がない。かわいくて、ほほえましいだけだ。 それなのに、なか身は主婦で小言や節約にうるさい。 「マリリンもさ、もっとぎりぎりの生活を楽しんだらどうなの。 俺はこれでも楽しんでいるよ。精一杯戦って、報酬やランクがあがるのがわくわくするんだ」 「それって……」 マリリンはまたなにか言ったけど、俺はすでに転送開始中で、聞きとれなかった。
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