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 個室のブースに入り、コンセントに充電器を挿し、スマートフォンの充電をした。充電しながらインターネットのブラウザを開き、『住み込み 求人』と検索した。  いくつか表示された検索結果を少し眺め、一番上のサイトを表示する。文字の羅列を目を細めて見ているうちに眠くなり、洋二は背もたれにもたれかかって眠った。  はっと目を覚まし、周囲を見回す。自分のいる場所と置かれた環境を思い出し、洋二は頷いた。スマートフォンを見ると充電は済んでいた。スマートフォンを充電器から引き抜き、充電器をボストンバッグにしまう。トイレに立ち、ついでに飲食スペースに寄り、ラーメンを食べた。汁まで飲み干して個室に戻る。それからまた、スマートフォンで求人検索をした。  急募で、寮付きで、経験と学歴は不問でないと困る。しかも四十二歳という若くない年齢の洋二が就ける職。接客やサービス業は無理だ。洋二は人と話すことがあまり得意ではないし、気が利く方でもない。出来れば工場や倉庫が良い、と思って探しても、そうなれば今度は寮がない。解雇(くび)になってしまった前職のような炎天下の肉体労働は出来れば避けたい。
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