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 条件に見合う求人がなく、どこを妥協するべきか考えるのが面倒臭くなってきたあたりで、スマートフォンが振動した。細長い通知ウインドウが画面上部に現れて、メールの受信を告げる。『ご応募いただき、ありがとうございます。面接の……』。通知ウインドウはすぐに消えてしまったが、その内容が洋二は気になった。面接? 応募? もしかして自分は何か操作を間違えて、どこかの企業に面接の応募をしてしまったのだろうか。  慌ててメールのアイコンをタップして、メールボックスを開く。やはり、面接日時の連絡だった。メールには会社の名前が書いてあったが、見覚えはない。  首を傾げながらそのメールをじっくりと読み込むと、どうやら洋二の希望の求人内容であることが分かった。住み込み、経験不問、長期間、高時給。室内で出来る軽作業と明記されており、更には食事補助まであるらしい。  読んでいるうちに興奮した洋二は、絶対にこの仕事を逃したくない、と思った。もし何かの間違いだったとしても、面接まで行ってしまえばチャンスはある。面接日時は明日朝九時、洋二の今いる駅から二駅離れたターミナル駅を指定されていた。洋二は立ち上がり、インターネットカフェを後にした。  
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