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 ボストンバッグを肩にかけ、夜道を歩いた。指定されたターミナル駅に着いたときは夜十時を回っていたが、まだたくさんの人で賑わっていた。駅近くの二十四時間営業の量販店で一番安いスーツとワイシャツとネクタイを買い、ついでに下着も靴下も買った。  少し離れた健康センターまで行き、入場料を払って中に入る。ボストンバッグをロッカーにしまい、借りたタオルを手にして風呂に入る。体を適当に洗って、ほとんど人のいない浴槽に手足を伸ばして浸かった。体の芯からじんわりとほどけるように脱力し、あやうく寝そうになってしまう。風呂から出ると広間で枝豆とビールをつまみ、浴衣姿でくつろいだ。数日ぶりのビールがとにかく美味く感じて、一気にジョッキを三杯あけた。  仮眠室で横になり、朝風呂の始まる五時にアラームをセットして目を閉じた。先に寝ている奴らのいびきがうるさく感じたが、結局洋二もすぐに眠くなった。体の痛みは大分引いたが、まだ鈍く痛む。すぐに眠くなるのはそのせいかも知れない、と思ったところで意識を失い、胸元のスマートフォンが振動するまでぐっすりと眠った。
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