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「悠長なことをしていられないな。一刻も早く彼女やメリアスを探し出し、本来の記憶を取り戻す手がかりを得なければ」
「でも、どうやって探すんです?」
「本当の記憶に入る為の扉がどこかに隠されているはずだ。隠しものがある時、人は隠さねばと意識してしまう。黒霧は、そういった心の変化にひどく敏感だ」
「つまり、黒霧が特に濃く出ているところを探せば良いってことですか?」
「フィオは話が分かる人で助かる」
手分けして、黒霧が濃い場所を探し始めた。広大な城下町は似たような建物が立ち並んで迷ってしまう。店の並びがほとんど変わっていないことだけが唯一の救いでもあった。
一通り走って探したが、黒霧が濃い所を見つけるのは困難を極めた。焦りが頂点を超えた時、ふっと立ち止まった横道に目が止まる。
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