2人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
真夏の一日は
夕立で初期化される
遠くの空に
音もなく稲妻がみえて
生暖かい風が吹きはじめたかと思うと
大空一面
黒マントがひるがえり
魔王がバリバリバリと
電撃ノイズを鳴り響かせる
どしゃばしゃ堕ちる
それはもう何もかも
その日の朝と昼の時間のすべてが
どしゃばしゃ堕ちる
嫌なことがある日には
最高で
いいことの途中だったら
最低で
傘など役にも立たないし
かといって
ずぶ濡れてはしゃぐほどの無邪気はなくて
そうやって
半時もして
頭の中が白くなったところへ、虹がかかる
安堵してさえずり始めた雀の鳴き声を聞きながら
ピアニストは
しゃかしゃかとマンゴー味のホエイプロテインを溶かす
さあ、もうひとしごと
好みの黒鍵に指をおとす
(おわり)
最初のコメントを投稿しよう!