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夜月美杏 前編
私、夜月美杏はいたって普通の高校生……とは言い難い。
なんと言ってもお父さんがヤクザの組長なのだ。
漫画みたいで笑ってしまう。
そんな私だけれど高校にいる時は普通の高校二年生。
これは本当。
通ってるのはここら辺じゃそこそこ有名な進学校だし、変な友人関係がある訳でもない。
しかし、そんな私は今人生の中でも五本指には入りそうなピンチに見舞われている。
下校中に襲ってきた人たちをいつも通り返り討ちにしたまではいい。
組の若頭で元お付の蓮くん、海原蓮弥にでもどうにかしてもらえば終わる話だからね。
でも、私の目の前に立っているのはクラスメイトの百瀬時亜。
すっごくどこかで聞いた事あるような苗字の、学校でも有名なイケメン。
誰にでも平等で性格もいいと、友人が言っていた。
そんな彼は返り血を浴びた私を驚いたように見て固まっている。
まあ当たり前だと思うけれど。
私は柄にもなく冷や汗が頬をつたった気がした。
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