1話

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休日の場合、大概は外へ出掛ける。今日の予定では、噂の面白いアニメを鑑賞しに映画館へ行き、夕方には帰るという計画だ。 待ち合わせのブロック(べい)で寄り掛かり、晴れている空を眺める。すると、おはようごさいます、と寒そうにロングコートとマフラーで身を包んだ人がやってきた。 「おはよう。コート、(まこと)さんの?」 「うん、お父さんのお下がり貰った」 「ぶかぶかだね」 「これからだよ」 前日、連絡を取っていた佐藤小枝(さとうさえ)だ。前髪で隠れていることが多いが、実は瞼が一重で、常に眠たそうに見える。 「佐藤くん髪の毛切ったんだね。()()げ?触ってもいい?」 伸びた手を(さえぎ)り、それより神寺くん、と流し目で訴える。 「昨日、寝落ちしましたね。既読無視が最近多発気味かと、その辺どのようなお気持ちで」 「申し訳ありませんでした」 偶にすれ違う自転車の荷台にはチャイルドシートが付いている。右脇を走行している保育園のバスの窓には沢山の黒い帽子がひょこひょこしていた。
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