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スマホが鳴った。
「…」
僕はテロップを見た。恋人からだった。
『お疲れ様。今日診察だったよね?良かったらご飯行かない??』
「…」
(…会いたいな)
僕は彼女の優しい表情を思い出した。
(でも…会うの、辛いな)
彼女が優しければ優しい程、申し訳なくて、辛くて、面倒くさいと感じてしまう。
そんな気持ちを抱いた自分に嫌悪感を抱きつつ、僕はスマホをポケットに仕舞い込んだ。
彼女を大事に思えば思うほど、僕は今の自分を見られるのが辛かった。心が壊れてしまった自分と、何もしてあげられない罪悪感。
きっと彼女は全部理解した上で僕を見捨てずにいてくれているんだと思う。いつまで僕を見捨てないでいてくれるんだろう。
彼女に会うのが面倒に感じてしまうのは、次に会った時に見捨てられるかもしれない怖さもあるからだろうか。
(いっそ別れてしまえば楽になれるのかな)
僕は大きく息を吸い、吐いた。また考えすぎてしまってる。ちょっと落ち着こう。
僕はスマホをもう一度取り出して、恋人からの連絡に既読をつけた。
『ありがとう。18時でいい?』
すぐに既読がついた。
返信はスタンプだったので、僕は既読をつけてからスマホを再びポケットに押し込んだ。
会うのがこんなにも辛いのに、会いたくてたまらなかった。
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