第2話 夢のはなし

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悲しい家庭の事情に経理課のメンバーはわかりますと全員が頷いていた。 一人分ならそうなってしまうのも無理はない。 「春に娘さんが大学を合格したそうでおめでとうございます」 「私大だからね、学費が大変だよ」 はぁっと課長は溜息をついた。 経理課のメンバーが課長に言った。 「いやあ、わかりますよ。うちも子供が生まれて、なにをしてもお金、お金、お金ですよ」 「マイホーム建てたんですよね。でも、子供がいなくても大変なんですよ。私は田舎に仕送りしているし。母一人子一人だから仕方ないんですけどね」 「30年ローンだよ」 「これが結婚の現実です。清本先輩」 「肝に銘じます」 そう言うとみんなが笑った。 経理課は私と斗翔の結婚の話を祝福して心から祝福してくれた。 この時は。
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