第3話 暗転

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会社に貢献しているのに社長は斗翔が森崎建設社長の椅子を狙っているんじゃないかって邪推して、斗翔のことを疎ましく思っている。 そんなことを考えてるのは社長だけよ! 周りのみんなだって斗翔がそんな人間じゃないことをよくわかってるんだからね! 斗翔は黙って会社に尽くしてるのに目の上のタンコブ扱いなんて酷い話だ。 「夏永。怖い顔してどうかした?」 「ううん。なんでも。ちょっと酢飯が酸っぱかったかなって」 「ちょうどいいよ。料亭にスカウトされるよ、きっと」 やっぱり聞いてたんだ……。 最大の褒め言葉だと思っている斗翔は『うまく褒めることができたな』なんて満足そうな顔をしているけど、それ立ち聞きしてたのバレバレだからね!? 「おいしいよ、夏永」 優しい斗翔。 いつも穏やかで色のイメージは青。 深海のような――――濃紺(のうこん)かな。 「でも、よかった。森崎社長が斗翔が本社を離れることを許してくれて」 森崎という苗字でわかるように斗翔は森崎社長の遠縁にあたる。
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