第27話 弱み【斗翔】

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俺はわざとらしくため息をつく。 「今、森崎建設が大事な時期だということは頭取もご存じのはず」 「う、うむ」 「この時期に納期に間に合わないというような事態になればイメージダウンは避けられません」 「当然だ」 頭の悪い人ではない。 俺が言うことがマイナスであることはすぐに察した。 「仕事に支障が出るような女性はこちらとしてはお断りしたい」 「う、うむ、い、いや。申し訳なかったね。娘にはこちらからきつく言っておこう」 「ありがとうございます」 頭取は苦い表情を見せ、小さい声で『またか』と呟いたのを聴き逃さなかった。 「以前、優奈子さんがお付き合いされていた方はどんな方なのでしょうか」 「それを知ってどうするんだね……」 「どういうふうにお付き合いされていたのかと疑問に思いまして」 あれだけ気性の激しく、欲しいものに対して貪欲な人間が俺だけで満足するだろうか。 俺以外にもいたと考えるのが普通だ。 「話していただけますか。お嬢さんは俺をマンションに閉じ込め、自宅を勝手に壊して荷物を捨てさせました」
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