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後輩は小さい声で『すみませーん』と言ったけど、反省は一瞬ですぐに『どんな家に住むんですか?』と小声で聞かれた。
「海が見える家よ」
まだ午前の業務中、大きな声で話すのはできない―――
「うわー!いいですねぇ。確かに森崎さんなら、すっごく素敵な家を建てそう!」
「静かに!」
案の定、筒井課長から叱られた。
ほらね……。
うらやましーい!と後輩が溜息を吐いた。
「結婚したら、清本先輩は奥様ですね」
「奥様になんてなれないわよ。新しい仕事を探すつもりよ」
「なればいいのにー!森崎さん、カッコイイ上に高収入、才能まであって将来有望ですもん。文句なしじゃないですか」
奥様なんてガラじゃない。
今までの仕事はできなくなるかもしれないけど、また何か仕事を見つけて―――そう思っていると廊下が騒がしい。
「おいおい、なんだ」
筒井課長が立ち上がり、ドアを開けた。
「大変だ!!今、テレビの会見で―――!」
「森崎社長が主導して建築データの改竄をしていたらしい!」
社内の電話が激しい雨音のように一斉に鳴り響いた。
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