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「スカイブルー……」
空を見上げて呟いた。
空色、天色、青藍、紺青、セルリアンブルー、ゼニスブルー、シアン、アザーブルー……
縁側に寝転がり、ずっと空を眺めていた。
空が青いな―――自分がだんだん青色に染まっていくみたい。
いっそこのまま、青に溶けてしまえればいいのに。
そんな儚げなことを考えてしまうのは結婚目前だった恋人を奪われ、仕事も失い、私にはもう何もなくなってしまったから。
バタッと大の字で縁側に寝転がり、空を見るだけの私。
「無職……無職とはいかがなものですか」
泣きすぎてもう涙もでないと思っていたのに目尻にまだ涙がにじんで、目の前がぼやけた。
私、清本夏永は失恋し、会社もクビになり、ここにやってきた。
神様、せめてどちらか一つになりませんでしたか?と文句の一つも言いたいところだ。
「これからどうしよう」
ここにきたのはいいけど、完全にノープラン。
荷物は引っ越し業者に頼んで運んでもらったけれど大した荷物もなかった。
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