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夕暮れ色、茜色、オレンジ色―――サンセットカラーの海に日が沈んでいくのが山の上から見えた。
少しずつ山の方から薄紫色が広がり、グラデーションになるのを綺麗だなと思って眺めているとワンッと犬の鳴き声が響いて私を現実に引き戻した。
「早く帰らないとパパに叱られるっ!」
気づくと結構長い間、おしゃべりをしてしまっていた。
スポーツ競技場を建てていることやおすすめの温泉施設、スーパーの特売日なんかを詳しく教えてくれた。
まだ小さいのに莉叶ちゃんは利発で頭の回転が速く、まるで大人と話しているみたいだった。
「それじゃあ、そろそろ帰るねー!またね!」
「ありがとう。莉叶ちゃん」
莉叶ちゃんは私に手を振り、私も手を振り返した。
ゴールデンレトリバーが頼もしく莉叶ちゃんの周りをぐるぐると回りながら、尻尾を振り、先導していった。
頼もしい犬ね……ってジュディさんでしたね……。
あまりの賢さについ『さん』付けしてしまうわよ。
お弁当箱のおにぎりはまだ温かい。
「そういえば、最近、ほとんど何も食べれなかったからなぁ……」
お腹が空かなかったからな……。
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