第4話 田舎の家

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「掃除しなきゃ、ホコリじゃ死なないなんてセリフもきついレベルだわ……」 昨日は縁側でぼけっーとして、座布団を枕にし、毛布にくるまって眠った。 冬じゃなくて、本当によかった。 今の季節だから許されるのよ? これ、冬なら確実凍死案件だったわね…… 灯油もなかったし、ストーブもどこにあるんだろう。 「……まずは生活できるレベルにしよう」 仕事を探す前にそれよね。 朝ごはんを食べて、お弁当箱を洗った。 これは食料を買うついでに返しに行けばいいか。 引っ越しの挨拶もまだだったし、落ち込んでいるとはいえ、社会人としてあるまじき姿だったわね。 「えーと、バケツと雑巾は」 ごそごそと納屋の中や階段下の道具置き場を探したけどない。 「えー?」 きょろきょろと探していると棚の高い所に銀色に光るバケツっぽいものが見えた。 「あれかな」 よいしょっと背伸びしてとろうとした瞬間、銀色のタライが頭の上にグワーンッと落ちてきた。 「い、痛っーーー!!」 うぅっー! 頭にタライが落ちてくるとか、コント!?コントなわけ!? 「ひどすぎるよー……」 頭をさすりながら、落ちたタライを手にした。
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