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ゴロ寝を許さないとは!
なんて厳しい犬だよ!
「生きてたー!よかったー!」
犬の飼い主と思われる女の子は可愛くて、夏らしい白のワンピースと麦わら帽子をかぶっていた。
誰が死体よ!
生きるよ!
縁起でもない。
間違えないでほしいわ。
確かに弱々しいオーラで風前の灯みたいになってるけど、まだ死んでないっての!
「えーと、どちらさま?」
「お隣の高吉だよ!私は高吉莉叶。この子はジュディです!」
ゴールデンレトリバーのジュディはぶんぶんっと尻尾をふり、莉叶ちゃんにすりすりと頭をこすりつけていた。
ジュディ……。
私との待遇が随分違いますね?
「お隣なんてないけど」
山の中にある家の周りは木々で鬱蒼としているし、左右に家なんかない。
「あるよ。この山の坂を下ったところに青い屋根の民宿があったでしょ?民宿『海風』って看板なかった?」
「坂の下がお隣!?」
「そうだよー」
さすが田舎。
隣と隣の間隔が広すぎでしょ!
まさか、回覧板を回すのに山道を下り、また登るの!?
ゾッとした。
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