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ここまで歩いてくるのも山登りみたいで大変だったのにー!
ヒールの靴しか持ってなかったから、靴ずれして足は絆創膏だらけ。
心も体も満身創痍ってうまいこと言った―――って笑えない。
「これ、私のママからです。引っ越したばかりで食べ物がなにもないかもって。よかったらどーぞ!」
親切なお隣さん(ただし山の下)の高吉さんがくれたお弁当箱にはおにぎりとおかずがみっちり隙間なく詰められていた。
からあげや卵焼き、ナスの漬物とキュウリの浅漬け、おにぎりはシンプルに白いご飯に黒の海苔がまいてある。
お茶のペットボトルが一本。
それを見て、ぐぅっとお腹が鳴った。
そういえば、朝から何も食べてない。
水さえも飲んでいなかったことに気付いた。
「ありがと……。いいママだね」
「ちょっと頼りないけど、いいママだよ」
莉叶ちゃんは可愛がられているのが見てわかった。
手作りのワンピースにお揃いのリボン。
ひらひらとリボンが夕方の涼しい風に揺れていた。
「手作りのワンピース、素敵ね。生成り色がよく似あってる」
「うん。ママが作ってくれたの。でもこのワンピースは白色だよ?」
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