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付き合ってすぐ寂しがり屋の斗翔に気づき、一緒に暮らそうと私から言った。
斗翔は両親を早くに亡くして、この古い家に一人で暮らしていた。
それを知ったのは同棲してからで、自分の境遇を誰にも言わずにいたのは彼にとって孤独であることが特別ではなかったから。
寂しいということさえ、自分では気づけなかったようだ。
あまり人を寄せ付けるタイプではなく、友人も少なくて、私と出会ってからはよく話すようになった。
私がおしゃべりだったからかもしれないけど、今では自分の事をよく話してくれるようになった。
「夏永とは家族同然だから、このままでもいいけど、そろそろ夏永との子供がほしい。家族を持つのが俺の夢だから」
家族と言われたことが嬉しくて斗翔の顔に自分の顔を近づけて、覗き込んだ。
「家もでしょう?」
「うん」
二人で笑いながら、シーツの上に転がった。
起きるのなんて無理。
斗翔は寝転がりながら、私達が住む家の絵をサラサラと描いた。
斗翔は建築士の資格も持っているけど、主に建築デザイナーの仕事をしている。
建築デザイナーとして、人気の彼は会社の重要なポストにいる。
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