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そのころ、ごとうくんは草原のはてでとてもかわいい女の子とであい、あそんでいました。女の子は白いつのぶえを首にぶら下げ、いっぴきのこわいかおをした犬とひつじのむれを連れていました。ごとうくんは女の子に首元を優しくなでられて女の子の持っていたおべんとうのみずみずしいりんごをごちそうになっていました。
ごとうくんが戻って来た時、メエちゃんは待ちくたびれてねむっていました。
ごとうくんはメエちゃんに待たせてごめんね、とあやまるとメエちゃんは、楽しかった?と聞きました。ごとうくんは女の子に会って、いっしょにあそんでもらって楽しかったよ、と笑顔でこたえました。
それからごとうくんはひとりでその女の子に会いに草原に行くようになりました。メエちゃんがごとうくんのお家にあそびにいってもごとうくんは草原に行ってしまっていて、いつもいませんでした。
ある日、ごとうくんは女の子のお家にもかぞくがいて、みんな“りょこう”というものがだいすきなのだとききました。女の子はごとうくんにしらない“まち”というばしょのことや、“せかい”という草原よりももっと広いばしょのことをおしえてくれました。そしてそこに行くにはくるまやでんしゃやひこうきというすてきなのりものにのって行くのだとおしえてくれました。
ごとうくんはある日、学校のやすみじかんにひとりでブランコに乗って遊んでいたメエちゃんに相談しました。
「ぼく、大きくなったらにんげんになりたいんだけどどうやったらなれると思う?」
「どうしてにんげんになりたいの?」
「ぼくね、見てみたいんだ。この村の外には、まちという広いばしょやせかいという場所があってさ、いろんなおもしろいものがたくさん見られるんだってあの女の子が教えてくれたんだ。そしてそこに行くにはくるまやでんしゃやひこうきにのるんだけど、それはにんげん用だからぼくはたいてい乗れない。だから大きくなったらにんげんになってそんなせかいに行ってみたい」
「それはとってもとおく?このまえの草原よりも?」
「ああ、そうだよ。とってもとおくて、とってもおもしろいところなんだって」
メエちゃんはそれを聞いてとてもかなしそうな顔をしてメェ~と泣きだしました。
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