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その夜のことです。
ごとうくんは遠くまで遊びに行ってつかれたのでお部屋のベッドでぐうぐうと眠ります。
おひさまかがやく次の日の朝が来ました。
なんということでしょう。
ごとうくんはにんげんになっていました。
ごとうくんは二歩足で立っている自分の毛のないはだ色の手足と五つの指を穴があくほど見て、それからとてもうれしくなってカエルのようにぴょんぴょんと部屋中をはね回りました。
すると、外からおはようと誰かにあいさつをする元気な声が聞こえてきました。
あれはメエちゃんの声!
二階の部屋の窓を開けてメエちゃんにおはようと元気よくあいさつをしたら、メエちゃんはごとうくんを見あげてふしぎそうな顔をしています。そしていつもならごとうくんが家からランドセルをせおって出て来るのを待っていてくれるのに、ぺこっと小さくおじぎをしただけで何も言わずにそのままたたっと歩いて行ってしまいました。
「ちょっと待ってよー!」
ごとうくんはあわてて洋服にきがえると、ランドセルをせおって家を飛び出しました。
外に出ていっしょうけんめいに走って、やっとメエちゃんに追いつきました。
「メエちゃん、何で待ってくれないの?
いつも一緒に学校行っているのに」
おこったように言ったごとうくんをメエちゃんはふしぎそうな顔で見ました。
「何で私のなまえ、知っているの?」
「え?」
「あなたはだあれ?」
ごとうくんははっとして、自分の手足を見ました。
そうか、ぼくは今、にんげんなんだ。
メエちゃんが気がつかないのも当たり前だ。
「メエちゃん、おはよう。一緒に学校行こう!」
十字路の向こうからランドセルをせおった女の子やぎのお友達がかけて来ました。メエちゃんはうんいいよ!とえがおで答えるとその子と一緒に行ってしまいます。
一人残されたごとうくんは胸のあたりがいたみました。目からは笹舟を追いかけていたあの川の水みたいになみだがどうどうとでました。ごとうくんはかなしくてやりきれなくて、ぎゅっと目をとじてなみだをこらえます。
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