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翌朝。
ごとうくんはいつもより何倍も早く学校に行くじゅんびをして家の前でメエちゃんが来るのを待ちます。
あっ、向こうからランドセルをせおったメエちゃんが歩いて来ます。
ごとうくんは自分の手足をしっかりと見ました。大丈夫、ちゃんとつややかな白い毛なみが生えています。ごとうくんはそれでもすこしふあんなきもちでメエちゃんに声をかけました。
「メエちゃん、おはよう。
あのさ…きのうはごめんなさい。
ゆるしてくれる?」
メエちゃんはまあるい目をさらに丸くして、それから少しもじもじしながら言いました。
「ごとうくん、おはよう。
私もきのうはごめんなさい。
ゆるしてくれる?」
「うん、もちろんだよ」
「ありがとう、うれしい」
「ぼくもすごく、うれしい!」
メエちゃんはいつものかわいいえがおを見せてくれました。すると、ごとうくんのふあんなきもちがけむりのようにうすくなって空高く消えて、あとにはあったかいきもちがむねいっぱいにふえてゆきました。
ごとうくんはメエちゃんとならんで、
なかよく村のやぎやぎ小学校まで歩きます。
それからごとうくんがあの女の子のいる草原に行くことはもうありませんでした。
メエちゃんがいればそれだけであったかいきもちになれるし、それがしあわせだとわかったからです。
おわり
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