賢者、転生する。 : 2

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賢者、転生する。 : 2

そうしてまた次の生を受け──雷を受けたように突然思い出した。 いや、実際熱を出して寝込んだ私は、起き上がった時に周りを見回して呆然とした。 「……今度は……」 残念ながら私は男ではなく、出産して間もない人妻だった。 熱は産褥のためのものだったかもしれないが、思い出せたのは良かった──のか? 「……どうして」 産まれたばかりの我が子を背負って、魔王と戦うことなどできない。 というか、そのための訓練すらしていない私は、子爵家に嫁いできたのだと思い出す。 せいぜい計算ができ、綺麗な字で当主である夫の手紙を代筆することを期待されていた。 「もう……どうして思い出したりするの……だいたい、こんな田舎の領地に魔王なんて現れようがないじゃない」 赤ん坊に乳を与え、乳母に預けては領地経営を夫婦で取り組み、私は穏やかに生を重ねた。 いよいよ終わりの時、なぜか私は森に行かなければと感じ、その通りにしてしまったのが運の尽きである。 「……まったく!いつになったら俺に会いに来るのかと思ったら!そのような老女になりおって……これでは戦うことすらままならぬではないか!」 「何故必ず戦わなければならないのです?私は女ですよ?王宮にいる女騎士でも、戦争などで前線に立つ者などいないのに」 「何っ?!そうなのか?そうか……我ら魔族とはずいぶん違うのだな。我らは戦う力さえあれば、オスだとかメスだとか、複数の性別があろうとなかろうと、好きなだけ戦うのだが……だからか?いや、俺に挑んできた者の中には女もいたと思うが……」 「それはきっと冒険者で、あなたのような邪な者を斃すための特別に訓練した者なのでしょう。ああいった協会ではそのように戦闘に向く女戦士を育成する機関もあるとは聞きますから」 「ふぅむ……なかなか博識だな。いや、やはり違うな……もっと昔、人間の数が少なかった時は『戦える者は戦え』という時代もあったのだ。その頃は弓を使うだけでなく、剣を使って戦っていた女の兵士もいた。この地ではなかったかもしれんが。この国にはおらぬというだけかもしれんだろう」 私は初めて聞いた言葉に目を剥いた。 好奇心で気持ちが高揚する。 私の知らない国──時代──歴史── 「ふむ……もう少し今のお前(・・・・)と話していたかったが、残念だ。もう時間がないのか……次に会う時も、このように穏やかに話し合うことができればいいのだが。いや、思いがけず楽しかった……おい?お……」 そうして私は意識が途切れてしまった。
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