賢者、転生する。 : 3

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賢者、転生する。 : 3

次に思い出した時には私は剣士としての人生を歩み、その世界では熟練とされる10年を超えていた。 すでにそれなりの腕前になっていた私は、今一歩『一流』と言われるAランクから突破できずに悩んでいたが、勇者の資格を得ようと頑張っている若者たちに指南を乞われ、応じたのである。 当時Bランクから昇格するのに苦労していた彼らは、私の指導で準Aランクほどにはなったが、さすがにAランクを突破して勇者クラスになるのは難しい実力だった。 だから正直に普通のダンジョンを堅実に攻略して、Aランクパーティーを目指して活躍するようにと忠告した。 ──したのが、いけなかったのか。 ある日ふらりと気紛れに現れた魔王に浮足立ち、彼らは実力差も考えずに突っ込んでしまった。 私は彼らを助けようとし──その時は賢者の力を磨いていなかったために彼らをカバーすることもできず、ある意味巻き添えを喰らう形で生を終えた。 「……まったく。人間とは愚かだな。どうだ?もうそろそろ魔族に転生しないか?お前なら大歓迎だぞ!」 瞬殺で仲間を轟々と燃える塊に変えてしまった魔王は、ただ1人吹っ飛ばされてしまっただけの私に向かって笑いかけた。 「くっ…そぉ……て、めぇ……前、から……気にくわ……魔族、と…繋がって…やが……」 「うるさい」 恐るべき生命力で起き上がったのは魔剣士のジョブを持つリーダーだったが、正気を失いつつある目玉をギラつかせて呪詛の塊を私に向かって飛ばしてこようとしたが、魔王がいとも簡単にその呪いごとリーダーの命を刈る。 「……いや……どうやら私は剣士には向いてはいなかったようだ……次は……」 ゴホッと咳き込むと血の塊が込み上げてきて、そのまま気道が塞がれる。 たちまちのうちに意識が遠のいていくのは、きっと魔王がさっさと転生しろと言わんばかりに私の首を掻き切ったからだった。 「まだやり足りないのか……どれ、もう少し付き合うかな……次はこんな阿呆どもの面倒を見ることがないようにな。楽しみにしてるぞ」 そう言うと、魔王は視界が霞む私の目の前から霧のように消え、私の意識も消えた。
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