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「なに、してる」 初めて声をかけられたのは、真夜中に屋根へ上りだして10日目。 また軽い足音が聞こえたと思ってそちらを向いたら、首を傾げる小柄な姿が見えた。 学校で眼鏡を奪われたから、全部ぼんやりとしか見えないけど。 「星」 「…ほし」 僕は夜空を指差して言う。 ポソと繰り返した声は2人分くらい空けた所から聞こえた。7歳の僕とそんなに変わらないか、少し下くらいの子供の声。 1週間前から、何かに飛び乗ったような軽い足音と共に視線は感じてた。 でも、何もしてこないからどうでも良いやと思ってたんだけど。 とりあえず答えて、どうしようかなと考える。 聞いてきた声の主は疑問系を知らないようで、単語を繋いだような日本語だ。 かと言って、テレビで見る海外の人たちが話すようなカタコトの日本語でもなくて。 疑問系になってないけど、首を傾げるから質問なんだと分かる。
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