2人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、確かに!葵ちゃん当時カメラ持ってた!」
りさちゃんが思い出したように指を指してきた。
「え?そうだっけ?」
「そうだ、そうだ!だって体育祭の写真!葵がカメラを持っててやたら俺たちのクラスだけ写真が綺麗だった!」
「その中にさ、Deep Menの写真があったね!」
「確かすぐやめたけど、女性に人気の人のだろう?」
二人の会話を聞いて私の記憶が点から線のように紡がれていく。
《…そうだ…私その時にアイドルのコンサート用にカメラが欲しいって駄々こねたんだ。今はスマホになってるけどその当時はよく使ってたなぁ。》
一つの糸が大きな織物を作るように、一つの欠片は連鎖的に記憶を呼び起こしてくる。
自分がカメラを持っていた事も、そして彼と会ったこともあることが今、最果ての記憶からピントが合って鮮やかに蘇ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!