魔の一週間

8/12
124人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
カタカタと、無機質な音が鳴り響く。 気付けば時計は8時を回っていた。 会長もなにか仕事をしているので、お互い特に話をすることも無く、 たまに突然「井森」とよばれるが、「いや、なんでもない」で、話は終わる。 かまちょか。 付き合いたてのカップルみたいなことをするな なんてことを思い、皇会長をちらっとみると、 バチッと目が合ってしまう。 なんだ、俺の事見てたのか。 すけべな目線だったかもしれない。 「どこまでできた。みてやる」 すけべじゃなかったようだ。 皇会長は俺の後ろに回りこむと、 俺の画面をのぞく。 会長の吐息が顔にかかるくらいには近い。 距離感バグってるんじゃないかこの人。 「ふむ…ペースは少し遅いが、きちんとできている。ズレもないな 意外とやるじゃないか」 ポンッと、軽く頭に手を乗せられた。 別に褒められて嬉しいなんて思ってないからな。 「お前が作ってるのは、全学年合同の新入生歓迎パーティに使う小物などの細かい内訳だよ。 パーティの内装は大事だからな。頑張れよ。」 「…ソッスカ、」 ただの雑用として扱ってくれればいいものを、 どうしてまぁこんな大事なものを作らせるのだ。 もしかしたら適当に発注してしまうかもしれないのに。 まぁ、これもめんどくさい事の1つで振り分けられたんだと思うけどね……… 「なんで俺にこんな仕事を?っておもうだろ。 俺達は人数が少ない分、仕事量もとても多いんだ。 そのため、どうしても一人一人の仕事が、雑になってしまい、力を入れられないっていうのが現実でね。 でも……………新入生が、この学園に入って1番初めのイベントがこれなんだ。 あぁ、入学してよかったな思える、楽しいパーティにしてあげたいだろ。」 フーン……… パーティなんかあるのか… まぁ、金持ちのお遊びなんぞ、俺には関係ない。 学費はまかなってもらっているが、この内訳を見る限り、ホール貸切とか、見たことない名前の食べ物も沢山あるし……そんな豪勢なパーティに参加するお金はないだろう。おジジなんで借金抱えてるし。 たかが中学校の先生に、ツテでいれてもらっただけだ。 だけど、 会長をじっと見つめると、また、目が合う。 「なんだ。俺の事ジッとみて、惚れたか?」 んなわけねぇだろ。 勘違いも甚だしいぞ。 「結構、生徒思い、ナンスね。」 突然クラスに押しかけてきては無理やり連れ去って、証拠もない噂もちゃんと捜索しなければ、退学にすると言い無理難題を押し付けてくるような人だから 人を人とも思わない心無いやつなのかとおもっていた。 心臓ママのお腹に忘れてきたんでちゅか〜!? と、ついつい煽っちゃいたいレベルだったが、 意外とそうでもないみたいだ。 「当たり前だろ。生徒を守る、それが生徒会だ。」 皇会長は少し微笑むと、 口ばっかり動かしてないで作業しろとゴミを投げつけてきた。 サイテー! でもそんな会長が少しだけ、カッコイイと思ってしまったのは………… 気づかなかったことにしよう。 「………………チッ」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!