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藤ノ宮正弘side
「っと、これでいーですか。井森のオッサン」
「あぁ。あんがとな。わざわざ」
ったく、こんな回りくどいことしねぇで、
直接言ってやりゃあいいのに…。
「アイツはアホだから自分じゃ気付いてねーが、人の…特に女に対して、とんでもねぇくらいのトラウマがある。
女に触れられただけで拒絶反応がでちまうくらいだ。ま、それも気付いてねーがな。
そんなアイツが共学にいって、昔みてーに塞ぎこんじまうのが心配でね…。
それにこの中学だって、マトモなとこじゃなかっただろ?
あんなとこ入って、よく拗ねらせず真っ直ぐ成長したもんだ。
だから、アイツには少しはたのしい学校生活ってもんを送ってほしいって思ってな。
そんならセンセーんとこの学校が男子校の全寮制っつーから、丁度いいとおもったんだよ。」
「まぁ、たしかに。
あれだけの劣悪な環境で、よく耐えてたと思います。
本人は学びたいという意志はあったのに周りがアレで、好きに学ぶことすらできてませんでしたからね。
甥っ子さんのことは俺に任せてください。
様子はメールの方で報告いたします。
では。」
「おう。あんがとさん。
ま、俺は女に騙された金でも返しながらがんばるわ~~~通帳渡しとくから、アイツになんか必要なものありゃ買ってやってくれ。
じゃあな~」
いや、美人局に騙されたのはマジだったのかよ。
まぁでも…いい家族もったな、一太。
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