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番外編 ある日の辰巳
ある晴れた昼下がりのこと。
明里のバイト先ではランチタイムが終わり店内はゆったりとしたムードが漂っていた。まかないを食べようと明里は用意されたプレートを持って店内の仕切られたスペースに向かうと、そこにはすでに先客がいた。
「明里ちゃんも休憩?」
「あ、はい、お邪魔してもいいですか?」
「あぁ、ごめん。どうぞどうぞ」
明里を見ると辰巳はテーブルの上を片付けてスペースをあけてくれた。机の上にはまかないのプレートと、プリントアウトした紙がたくさん広げられていた。休憩中にもかかわらず辰巳は卒論の作業をしているようだった。
「やっぱり卒論大変そうですね……?」
「うーん、そういう学部に入っちゃったからね。明里ちゃんはないんだっけ?」
「はい、卒論はないんですけど、研究発表はあるので……。それが卒業課題みたいなものですけど」
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