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その日はとても天気が良くて庭の手入れをしていた。母親の趣味であるガーデニングは近所でも有名で季節ごとに庭を彩り、季節を感じさせてくれると評判だった。
メッセージを送ってから、既読がついたのは確認したものの灯から返事が来ることはなかった。本当に何を考えているのかわからない。
「あれ、明里ちゃん! 見ない間に大きくなったな」
「光くん!? 久しぶり!」
庭で母親に教わった通り花の手入れをしていると、隣の青木家の車庫に一台の車が入っていった。お客さんかな、と思い視線を向けるとそこには久々に会う人物の姿があり、明里は思わず駆け寄った。
「俺が家出てから大分たつからなぁ。明里ちゃんも灯ももう二十歳だっけ?」
「うん。成人式も終わったよ」
光は灯の八個離れている兄だ。就職を機に家を出てしまったのが六年前だから、明里たちがまだ中学生の頃だ。仕事が忙しいのか長期の休みもあまり家に帰ってくることが無かったため、明里も会うのが久々だった。
光の隣に女性の姿が見えて明里は、あ、と声をあげた。
「もしかして光くんの彼女さん……?」
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