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そう言うと灯はふっと微笑んでくれた。柔らかい猫っ毛の髪が揺れ、ふわりと微笑んでくれるその表情は明里が好きな灯のままだ。二年半たっても変わらないその表情に明里の顔が熱くなっていく。
やっぱり灯が好き――。
小さな頃から近くにいて、ずっと一緒にいると思っていた。けれどあの日を境に二人の距離は開いてしまった。それでも灯への思いを消すことなんてできなかった。お互いなんとなく連絡を取らなくなってしまったけど、それが灯への思いをまた強くさせていたことに気づく。
「それじゃあ、何かあったら連絡してね」
忙しいのに二週間も一人じゃ何かと大変なこともあるかもしれない。そう思って明里は灯に告げたつもりだった。
家に帰るとスマホが灯からのメッセージの着信を知らせていた。
『今日はありがとう。忙しかったから本当に助かった』
『一人で倒れたら大変だから、無理だと思ったらちゃんと連絡してね』
昔に戻ったような気分になり、明里は可愛いスタンプと一緒にメッセージを送った。灯からも返事のスタンプが送られてきて、心の中が暖かくなっていくのがわかった。
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