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それから二日に一度、灯の家に行くようになった。日によってはご飯を置きに行くだけの日もあったけれど、気がつくと量が多く入っていることもあって、母親が気を利かせて二人分の食べ物を詰めていてくれたこともある。
「それでね、山田さんの送別会があって、プレゼント渡したんだけど、すっごく喜んでもらえたんだ」
「それってこのあいだ、辰巳って人と一緒に買い物にいったときの?」
「あ、うん。辰巳さん、送別会の幹事だったんだ」
「そっか」
ご飯を食べながら他愛ない話をする。二年半のブランクを感じさせない雰囲気に明里はついつい饒舌になってしまった。灯が話を聞いてくれたことが、嬉しかったのかもしれない。
「明里さ、その辰巳ってひとに弄ばれてるんじゃないの?」
ご飯を食べる手は止めないまま灯が冷たく言い放った。
「そ、んなことないよ。そんなことする人に見えないし……」
「でも明里みたいなちんちくりん、相手にしてくれるなんて何か裏があるとしか思えないじゃん」
失礼な言い方に明里はむっとする。灯に辰巳の何がわかるというのか。それにそんなことを灯に言われる覚えはない。
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