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家にいるかどうか見るためにインターホンを押す前にリビングを見た。カーテンは閉まっているが電気はついている。在宅を確認すると明里はインターホンを押した。
「はい……って明里……」
出てきたのは当たり前だったが灯だ。それなのに灯はとても驚いた表情をしていて明里はそれに違和感を覚えた。確かにあんなことがあったばかりだから、もしかしたらもう来ないと思っていたのかもしれない。けれどそういった驚きではなくて、どこか戸惑いの色が混じったような表情をしている。
「今日のご飯……」
違和感を覚えながらも家に上がるために靴を脱ごうとしてあることに気づいた。
見慣れないパンプスが一足――。
ほのかに家の奥から良い匂いがしてきた。食器がカチャカチャする音が聞こえて、明里は嫌な予感がした。
「明里、その……」
「灯くん? どうしたの?」
「あ……」
家の奥から一人の女の子が顔をのぞかせた。
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