100人が本棚に入れています
本棚に追加
年齢が同じくらいの見たことのない女の子。エプロンをしているところを見ると、ご飯を作っていたのだということはわかった。
「あ、その、ごめんなさい。今日は要らなかったんだね」
「明里っ!」
明里はそれだけを言うときびすを返して自宅に戻った。後ろで灯が呼び止める声がしたけれど、家の中にいた灯がそれ以上追ってくることはなかった。自分の家の玄関につくとドアを背にしてそのまま座り込んでしまう。
「どう、して……」
我慢していた涙が溢れてきた。
そういえば灯に彼女がいるのかどうか聞いたこともなかった。自分の落ち度だ。
胸が痛い。なんでこんなにも灯に振り回されてしまうの。
灯のことを嫌いになれたら良かったのに、嫌いになんてなれない自分が情けなかった。
最初のコメントを投稿しよう!