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突然、ぎゅっと肩を抱き寄せられて明里は呆然とする。それは辰巳も同じだったようでめがねの奥の瞳がぱっと見開いて驚きの表情を浮かべていた。しかし、隣にいる灯はとても興奮しているようで怒りが伝わってきた。
「明里に何したんだって聞いてるんだけど。こんなに目を腫らして、やっぱり……」
「ちょ、ちょっと待って灯……!」
抱きしめられる腕にさらに力が入り明里は灯を止めようとした。しかし、目の前にいる辰巳が少し楽しそうに笑ったような気がした。
「何をしたか、だって? ただの幼なじみの君にそんなこと言う必要あるかな?」
「お、前っ……!」
「灯っ!」
今にも殴りかかりそうになった灯を必死で明里は止めた。その声に灯も冷静になったのか、握った拳をゆっくりと開く。
「はぁ。そんなに好きなら、二度と手を離すなよ。ガキ」
「っ……!」
「と、灯、誤解だから! 落ち着いて!」
「それじゃあまたね、明里ちゃん」
「せ、先輩もっ!」
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