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だらりと首をもたげている姿を見て、本当だったら一発でも殴ってもう二度と会わないと言ってやりたい気持ちになった。でもそのくせっ毛から見える瞳がひどく傷ついているように見えて放っておけないと思った。
「でも、やっとわかったんだ」
灯が顔を上げた。伸びてきた手のひらが明里の頬を優しく包む。
「やっぱり明里のことが好きなんだって」
「と、もる……?」
頬を撫でられながら優しく微笑まれる。明里の心臓の音が大きくなっていく。
「後輩の子といるときも明里の顔が浮かんで離れなかった。キスしてみたって、全然違った。明里とじゃなきゃ、したくないって思った」
何を言われているのわからずに明里はただ灯を見つめる。
ずっと灯のことが好きだった。あんなことをされても、辰巳に告白されても、やっぱり帰り着くところは灯だった。灯にただの幼なじみだと思われていてもいいと思っていたのに、突然の灯からの告白に明里の思考回路がおかしくなる。
「え、ちょ、待って……だって、私のことなんてなんとも思ってないんじゃ……」
「そんなことないよ。小さい頃からずっと一緒にいた、大事な幼なじみだよ」
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