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青木灯と友永明里は家が隣同士の幼なじみだ。生まれた月も一ヶ月違いで、お互いの家族も仲が良く、性別の差はあってもいつも二人は一緒にいた。幼稚園、小学生、中学生。思春期になればお互いに友達が優先になっても、夜になるとお互いの家に行き来するような、まるで兄妹のような関係だった。
『灯くんと明里ちゃんは本当に仲良しね』
幼稚園の先生にも小学校の先生にもそう言われてきた。手をつなぐことだって恥ずかしいともなんとも思わなくて、それが当たり前だと思っていた。
『あかりちゃんとけっこんするんだ』
『わたしも! ともるくんとけっこんする!』
よくある幼なじみの約束だってした。その約束を灯が今も覚えているかわからないけれど、明里の中では懐かしい思い出として今も覚えている。
さすがに一緒にお風呂に入るようなことはなかったけれど、お互いの家に泊まることだってあった。
『幼なじみ離れしたら? って思うけど、あんたたちだったらそういうの大丈夫なのかもね』
そんな風に友達に呆れながら言われたこともあった。
けれど、高校三年生の冬。卒業を間近に控えたある日のことだった。
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