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『明里なら大丈夫だよ。すぐに友達できそう』
『そうだといいなぁ。おしゃれなカフェでバイトもしたいし、面白そうなサークルがあったら参加してみたいし』
灯にそう言われると自然と元気が出てきた。大学生になったらやりたいことを浮かべると大丈夫な気がしてきたから灯の言葉は不思議だ。
『ねぇ、明里』
『ん?』
だから、あのとき灯なら大丈夫だと思っていた。
『んっ、はぁ……』
『明里……』
ふれあう唇から、肌から、気持ちが伝わってくるようだった。それなのに。
『ごめん』
夢にみたあの言葉が頭の中でリフレインする。あんな風に謝ってくる灯は一度も見たことがなかった。いつも穏やかで明里のことを肯定してくれた。少しだけいじわるなところもあるけれど、それでもあのころまでは、大事で大好きな幼なじみだった。お互いに好きだと告げたことはなかったけれど、これからも一緒にいると思っていたから、大好きだったから体も心も許したのに。
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