152人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「……しのざき、」
「…なに、」
「……最後、さみしい、かも」
「……うん、俺も、そう思う」
自分の声が震えていて、それから、篠崎のほっぺたがほんのりピンク色で、わたしの顔はたぶん真っ赤で。
ふたりして、酷い顔をしているんだ、きっと。
写真なんて撮れなやしない。
篠崎のほうを見れば、やっぱり私のことを見下ろしていて、先に口を開いたのは篠崎だった。
「……おい、顔、真っ赤だよ」
「篠崎に、言われたくないんですけど」
「……あーー、もう」
自分の髪の毛を、わたしのスマホを持っていないほうの手でぐしゃぐしゃと掻いて、せっかくセットしてあったであろう黒髪がぼさぼさになる。
その仕草だけでなんだか伝染するように恥ずかしくなって、自分でも信じられないくらいのか細い声で篠崎の名前を呼んだ。
「あ、のさ、」
「っ、なに、」
「──卒業しても、会いたい、から」
「……っ、」
「会って、くんない?」
「……、あう、」
「…おー、」
「……わたしも、そう思ってた」
「……っ、そりゃ、どうも」
最初のコメントを投稿しよう!