カピバラロックンロール!

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ああ、知ってるよ。 本当は『ポンパドール』って言うんだろ? でもな、やっぱりビシッとおっ立てたアレは『リーゼント』だよ! きっとポンパドールだって、俺はリーゼントだって思ってるさ。   今日も元気にドカンをキメたら 洋ラン背負ってリーゼント! そんな歌が流行ってた頃。 もちろんポマードべったりリーゼントよ。 みんな『夜露死苦』とか『愛裸舞勇』とか、学ラン着た猫なんかのステッカーを原チャとかに貼りまくってさ。 クリームソーダのTシャツとか着てさ。 あ、ちなみに洋ランって花じゃないからな。 でも、盗んだバイクで走ったり、夜の校舎窓ガラス壊して回ったりはしなかったぜ。 イキがってたけどウチは平和な工業高校でさ、気合い入った奴はいなかった。それなりに行儀良く真面目にはしてたのさ、みんな。 じゃなけりゃただデカいだけの俺なんかが 『県工の巨人アツシ』 なんて呼ばれて『頭』張ったりしてねえよ。 この街は今よりずっと田舎でさ。 メインストリートはわずか200メートル。 寂れた映画館と商店が五、六軒程度。 俺も高校を出たらバッグを抱えて都会に出て行きたい、いつかビッグマネーを手に入れてやるんだとか思ってた。 下手くそなバンド組んでてさ。 人生はロックンロールだとか言ってさあ。 とにかく目立ちたくてボリューム上げたら警察が来て苦情を言われたりしてたなあ。 そんな時代、俺が三年になった時の話さ。 それは生徒も先生達もみんな仲良くひっくり返る程の大事件だった。
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