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刑務所にて
***
珠奈が『Night』を訪れてから、三日後の朝。
どんよりとした曇空が広がっている。
真田刑務所に到着した砂原は、手続きを済ませて面会室に入り、椅子に座って相手が来るのを待っていた。
ガラスの向こう側では、一人の刑務官がすでに待機している。
数分後、現れた珠奈の二才上の兄は、珠奈に顔が瓜二つで、綺麗な顔立ちをしていた。
今まで一度も対面した事のない砂原を目の当たりにして、眉間にシワを寄せ、彼は椅子に腰かける。
「……誰だ」
「砂原夜と申します」
「何のようだ」
「熊谷咲哉さん。あなたの死神とお話にやって参りました」
咲哉は険しい表情のままだ。
「……何を言っている?」
砂原はじっと咲哉を見つめた後、口を開く。
「へぇ……。実際にあなたとお会いして分かりましたが、あなたはかなりの憑依体質ですね。しかも悪霊専門の。あなたの体に入り込めば、悪霊は他の人間に取り憑くより、力を倍発揮することができる。死神が特異体質のあなたに興味を抱き、目をつけて何年も手離さないのも納得ですね」
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