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「六年前、除霊師一家「砂原家」に目をつけたボルトは「砂原家」の株を下げるために、私を利用しようと考えました。除霊師は本来、悪霊を追い払う力がありますが、あの頃の私は、未熟にもボルトに敗北し、廃墟に連れていかれ、ボルトが紹介した悪霊は強制的に私に取り憑き、一人の人間を殺し、私はその罪を背負い刑務所に入りました。私が除霊師になって、ただ一度きりのミスでした」
「ミス」
「殺したのは、私の弟でした」
「弟」
「『兄ちゃん』と言って、無口な私によくなついていた二つ下の大切な弟を、憑かれていたとはいえ、意思があるままに、行動を制御できず、私は自らの手で……」
「………」
「力のないやつはいらないと、私は「砂原家」から追放されました。今は繁華街にある小さなbarを経営しております」
「あんたも、ボルトの被害者だったのか」
「……ええ」
砂原は目を閉じ、少し微笑んだ。
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