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少しの沈黙があったあと、砂原は口を開く。
「……熊谷咲哉を解放してほしいのです」
「はい?」
「そしたら、見逃してあげてもいいですよ」
ボルトは込み上げた笑いをこらえる。
「あはは。何を言ってるんでしょうか。私の方があなたより力があること、お忘れですか?」
「………」
「また、地獄を見せてあげましょうね」
面会室のガラスが勢いよく割れた。
フワッと体を浮かせ、瞬時に砂原に近づき、砂原の首元を絞めた。
刑務官は悲鳴を上げ、慌てて逃げていった。
「くっ……」
「苦しい……苦しいですね?」
「弱らして、拘束して、また夕立のたびに廃墟に連れて行って、あなたの体に霊を派遣して差し上げますよ。トドメは彼らにお願いしましょう。私は自らの手を汚すのはあまり好きじゃないのでね」
ボルトは、砂原の首をさらに締める。
「また、あなたの大切な人を殺してあげますね?」
砂原は、ボルトの手を掴む。
「一つ……伝えておきましょう、か」
「はい?」
砂原はふっと微笑んだ。
「……除霊師をあまりなめないでくださいね?」
「え……?」
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