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「もちろんです」
「幾つ罪を犯せばいい? いつか本当に……俺は死刑になってしまう」
「いいじゃないですか。小さな罪から大きな罪までじわじわと、あなたに死刑が執行される日まで存分に苦しませてあげます」
「俺が何をした……!」
「あなたは何もしてません、なーんにもね」
ふふふと、死神は笑う。
「どうしたら許してくれる? どうしたら……ここから解放してくれる?」
「雨が止んだらです。もちろん、また夕立が来たら、あなたを拘束しますがね」
「どうして俺なんだよ! どうして俺ばかり……!」
「あなたは魅力ある、素敵な才能をお持ちだからですよ。昔会った除霊師なんかより、ずっと、ずっとね」
口をつぐみ、咲哉は落胆する。
「私は、あなたの才能を買ってるんですよ」
窓の外で稲妻が光った時、死神は目を大きく見開き、殺伐とした声で言う。
「だから、期待にはちゃんと応えてくださいね?」
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